2017年4月1日

変化の多かった5年目

社会人5年目は転職があり、彼女と婚約がありと、人生の大きな転機が幾つかあった。働き方に対して、婚約はそれほど影響はないが転職は結構大きなインパクトがあった。

給料がそこそこ良かった前職をやめ、中堅Webベンチャーと言われる勢いのある会社に入ってはみたが、外から見る景色と中から見える景色は大きく異なった。こんなはずでは無かったのになと言うのが一番の感想で、そのせいであまり仕事に熱中出来なかった。

身が入らない中でも1年間働いていれば感じるものもある。仕事について、5年目でこれまでと大きく変わったなと感じるのは仕事のレベル感と仕事に求める価値観の2つ。成長出来たと思うことは殆どないが、学習に対する姿勢は学ぶことができた。

仕事に対する考え方

仕事の難易度の変化

前職ではただのメンバーであったが、新しい職場ではマネージャーという立場で入社した。立場の変化により仕事の難易度と自由度が大きく上がった。

仕事の難易度は、「タスクの消化」→「手段の検討」→「ゴールの設計」と段階的に抽象度が上がり難しくなっていく。タスクを消化する段階では試行錯誤する余地は殆ど与えられないが、ゴールの設計まで任せられると自分で設定できる変数が大きく増える。さらにその変数により手段の検討、タスクの消化の仕方が変わるので、下のレベルのタスクとは自由度と難易度が大きく異る。

今までゴールと期限が提示され、それを守るために手段を検討してタスク化し実行するというレベル感だったが、この1年間はゴールを自ら設定することを経験した。

事業部側のBtoCサービスに、管理部内のバックオフィス周りの仕事に携わらせてもらったが、特にバックオフィス周りでは自ら課題を見つけゴールを設定することが重要となった。BtoCの方は改善ポイントが明らかで問題設定も容易ではあったが、バックオフィス周りは手を加えずとも普通に回っている業務に対して課題を抽出するものであり、必要性や実施後の影響調査など、その業務が必要なのかを定義するまでのタスクが難しかった。

仕事を作るということ

上の立場になるにつれて、課題を見つけ仕事を作ることが重要になってくる。私が所属している部署は、全社横断的な課題に取り組む部署であり、そこの上司(Yさん)は課題抽出の能力が非常に高い方であった。

マクロに物事を見てロジカルに問題を整理し、課題抽出や状況整理の為に必要な人をしっかりと巻き込み多くの問題を洗い出していった。問題抽出力と推進力が非常に高い上司でと勉強になることがとても多かった。

今までの、やり方を工夫しタスクをこなす仕事から、ゴールを自ら設定する仕事を任せてもらえるようになり非常に自由度が上がった。けれども、自由になった分サボることも容易にできるようになってしまい、それがマイナスの影響を与えた面が大きかった。

主体的に取り組むこと

仕事でどれだけのパフォーマンスを発揮できるかは、どれくらい主体的に考えられているかが重要だと思う。その仕事を他人事では無く自分事として捉えているかどうか。

Yさんを見ていると、すべての課題に対して大きな危機意識を持っており、「自分がどうにかしないと誰もやれる人がいない、なので自分がやるしかない。」と言った責任感から来る主体性を持っていた。自分がこの領域を見れば他の人よりも上手くやれるという自信と、周りからこの人は仕事できると思われている信頼感が、Yさんの主体性の源泉にあるように思う。

仕事を通した成長を得るには

自分が仕事に取り組む意義

私のこの1年振り返ってみると、振られた仕事に対してはある程度の責任感から成果を出せてはいたが、主体性は全く持てず大きなパフォーマンスは上げられていない。

  • 自分がこの仕事をやる必要があるのか
  • この事業をやって世の中に何かいいことあるのか

この2つの疑問がいつもブレーキを掛けていた気がする。

前職のコンサル時代は、クライアントが大手企業であり仕事の成果が直接クライアントに還元されるため、仕事の成果=クライアント貢献と仕事の意義は認識しやすかった。今の会社はBtoB、BtoCどちらの事業も行っており、外部から見ると非常に勢いがあり大きく成長している会社のように見える。だが実際に中に入ってみると、その仕事に対して社会的意義を全く感じられなかった。

その業界の内容や手法に対して、業務を知れば知るほど疑問が湧いてきて、本当に必要な仕事なのかと感じるようになった。

今まで特に意識することは無かったが、自分が行う仕事に対しての社会的意義は自分が仕事する上で結構重要な価値なんだと分かった。

受け身の仕事では成長できない

このような背景から全然仕事にのめり込むことができず、この1年は殆ど成長することが出来なかった気がする。

与えられた仕事の最低限の成果で満足し、仕事に溢れまくっているYさんを傍目に定時後すぐ帰宅する。そのような働き方をして仕事に対する熱が完全に冷めてしまった1年だった。

コンサルで鍛えられたおかげか、今の会社のそれなりのメンバーよりは仕事を効率的にこなせるようで、場当たり的な対応などでやり過ごせることも多く周りから見たらそれなりに成果は出せているようだった。ただ、能力的に何か身についたかと言えば何も思い浮かばない。いくつかの小さなプロダクトを、責任者として引っ張っていた経験と実績が残ったくらいで、殆どスキルアップすることが出来なかった。

スキルを身につける

学ぶ、経験する

スキルアップを出来なかったが、Yさんからは仕事における勉強方法を多く学ぶことができた。

スキルを身につけるには、学習してそれを実践するしかない。Yさんのデスクには非常に多くの本が積まれている。いつも新しい事に臨む時は、本を読み情報をインプットしMTGや資料作りでアウトプットしている。前職でも勉強する人は多かったが、Yさんはその人達とは異なり、業務中に必要な知識をその場で本からインプットし、すぐアウトプットしている点。資料作りの際はいつも本を読み考えているし、MTG中に自席に戻って本を確認することもあった。インプットとアウトプットがダイレクトに繋がっているYさんの学習力は今まで見た誰よりも高いものに思えた。

自分の場合、本を読む量は多いがそれらがアウトプットに繋がることは滅多にない。Yさんは、アウトプット前提で知識のインプットを行っており、この違いは非常に大きい。アウトプットを前提としないインプットはただの趣味の域を出ない。自分の血肉とするには、やはりアウトプットすることが必須だとYさんを見て感じる。

人から学ぶ、本から学ぶ

学ぶ方法として、誰かをお手本としてコピーする方法と、本から理論を学ぶ方法とがある。本からは必要と思うことはある程度幅広く学習できるが、仕事に対する姿勢や仕事のやり方は、誰かをお手本として学ぶ方が効率が良いと思う。

その時々で学ぶ必要があること、学べることをきちんと意識しインプットするのが素早く成長するコツだと感じる。

スキルを身につける為にやること

仕事の抽象度が上がったおかげで、アウトプットの幅は今までよりも大きく広がったはず。そのため、身に付けたいスキルベースでアウトプットを選ぶことも、必要な成果を元にインプットを選ぶこともどちらも可能。インプットからもアウトプットからもどちらにも起点を置けるので、今後は目的をしっかり意識し学習していきたい。

インプットベースのアウトプットの方法は以下の2点

  • 身に付けたいスキルを定義し、それを元にアウトプット先を見つける
  • お手本となる人の仕事のやり方をトレースし、その仕事を引き継ぐか、同じようなタスクを振ってもらう

アウトプットを元にインプットする方法

  • 仕事のタスクをスキルベースで分解し、それぞれのタスクを実施するのに必要な能力を学習する

上記3つを次の1年は実践していきたい。

総論

結構できるなと思えた部分もありつつ、かなりサボってしまった1年だった。サボりグセがついてしまうのはかなり危ない。周りはどんどん成長している中で、足踏みしている余裕は全然無いはず。今の会社は正直合わなかったので5月末で退職し、6月からは別会社で働くことが決まった。

今の上司は本当に仕事ができて性格も素晴らしく、とても尊敬できる上司だ。この会社にいる残り少しの期間で、学べるものはとことん学んで行きたい。

社会人5年経過時の自己評価

出来ていること(5点以上)

課題・業務などの整理(7/10)

上司のYさんと比べるとまだまだ詰めが甘い点もあるが、それなりには出来ている。

問題を見てMECEに課題を整理し、そこから論理的にロジックを積み重ねて行き問題を整理する。所謂仕事の基本とされる論理的思考力は見について来たかなと思う。

議論をしていてたまに、良くそんなアイディア出ますね。と言われるが、それはアイディア力があるからではなく、前提を疑い問題を再定義することで、皆が考えている枠とは異なる視点で思考できるからであって、ロジカルシンキングなどの延長線だと思う。

その論理をアイディアに昇華させる力はまだまだ足りないので、これから身に付けていきたい。

抽象的課題の読解力(6/10)

これも論理の積み重ねでどうにかなる問題なので、今のところどうにか対処できている。抽象的な話を具体になるまでロジカルに落とし込んで行けばいい話。

 

これからに向けて 身に付けたいこと

抽象的課題の定義力(3/10)

抽象的な課題を定義する力はまだ全然足りない。Yさんの働き方を見ていると、なぜその課題に気づくのだろうか?というところから問題を持ってくることが多々ある。知識のインプットの量と、日頃からの問題意識の持ち方の違いからなのか、圧倒的に差がある。

ビジュアル化した思考(2/10)

問題を整理するときや説明するときは、言葉よりも図示する方が圧倒的に理解が進む。頭のなかで組み立てるのはそれなりにできるが、それを図に示すのは不得意。日頃から思考を図に示すように訓練するしか無いのか。

今まで取り組んできたような容易な論理力で解決できるものならよいが、課題が抽象化されてくると書いて考えないと思考が進まなくなる。何か手法が無いのか少し調べてみて、体系的に身に着けていきたい力。

巻き込み力

YさんとSさんを見ていると、人を巻き込んでいく力が圧倒的に高いなと感じる。人に物事を聞くのを一切躊躇しない。2人は若干スタンスが異なり、Yさんの場合は周りからこの人はデキル人だという印象を持たれているので、誰に対しても上位の立場から話に入ることが出来ているように見える。この人が言うならそうなんだろうなという雰囲気がある。対してSさんの場合は、勢いで持っていくことが多い。何かちょっとでも気にかかることがあればすぐ人に頼り、その頻度も多くその積み重ねで信頼感を構築し、協力してくれる体制を築いている。

自分の場合、これはこの人に聞くのが早いんだろうなとは思いつつ、中々巻き込めないことがある。立場的に上の人だったり、全く話したことが無かったりで躊躇することがある。今後はもっと踏み込んで、自分の仕事が進むようにしていかないといけない。